真木柚布子ファンクラブ「柚の会」スタッフブログ

真木柚布子ファンクラブ柚の会事務局スタッフのブログです。

2021年05月

  昨日制作こぼれ話「知覧のホタル」をアップしたら、意外な方から連絡頂いたのですが
  その方はブログを読んでから改めてこの作品を見たとの事。
  小さな一つ一つの事や意味を知ると余計に泣けたそうです。

  さすがに、雪かごは思い浮かべないように見たそうですが(笑)
  

  そして、一言 こんなことなら他の作品のこぼれ話も書いてくれるのか?と・・・
  と言う事で、一応真木さんにも了承を頂き「能代お菊」についても書いてみようかと
  思います。
  ただ、こちらでは制作側のこぼれ話ですので「映像鑑賞ライブ」で予定している
  真木さん自身の裏話とは異なります。

  この作品の初回公演の時には私はご縁がなくて詳細が分からないんです。
  でも、後に再演をしてツアーで各地を回る時には少し関わらせて頂いていましたので
  少しだけこぼれ話を・・・
   

             maki002

      まずはあらためて「能代お菊」とはどんな芝居か・・・

        「 能代お菊 」
       生まれてすぐに両親を亡くし、三歳で病にかかり目が不自由になってしまったお菊の、
  せつなくも悲しい
一途な恋の物語。
  6歳でごぜの親方に預けられ厳しい修行に耐えながらも、19歳で最初で最後の恋をした
  のが、
三味線弾きの弥太という男。弥太の弾く三味線の音色に心奪われたお菊
  だったが、戦争に召集された弥太との
別れに、弥太の一部をと髪の毛を貰い
  弥太の帰りを待つお菊。
  しかし、信じられない弥太の裏切りを噂で知る事になる。“弥太が幸せならば
  それが私の幸せ”と、悲しみを
こらえるお菊だったが、お菊にさらなる不幸が・・・
  失意のどん底に落ちたお菊は結核にかかり、しまいには
弥太が弾く三味線が幻聴として
  聞こえてくるようになっていた。

           
 ※目の不自由なお菊が三味線を弾くというシーンでは、真木さんは約5か月で習得した
  津軽三味線に挑戦している。 
  それも目の不自由な役柄の為に目を閉じたまま演奏。
  エンディングでは、題材となった真木柚布子の『紅吹雪』に合わせ、天に召され全ての
  苦痛から解放された
お菊が、目を開いて幸せを胸に踊る姿が感動的に描かれている
  作品です。

 

          

  この作品は再演されるタイミングで東京・名古屋・大阪・富山・青森など各地でも
  実演されましたが、それぞれの会場がまったく異なっていて、公共ホールや能楽堂、
  ライブハウスにホテルのバンケットと同じ演目を実演するにはあまりにも制作環境が
  違っていてかなり苦労がありました。
  特に演出的な照明では不利な条件も多く、障子に弥太のシルエットを映し出す
  シーンでは会場の奥行が足りないなどの事から、セットの位置関係を調整する必要が
  ありました。

  そんな苦労の多い条件での公演でしたが、名古屋の公演では音響・照明が
  セッティングを進め、いざリハーサルの時間・・・と思いきや、肝心な舞台セットが
  組み終わっていません!
  何と舞台になければいけない肝心な障子のセットがないんです。
  おまけに、全ての確認をしなくてはいけない舞台監督もステージまわりには
  いないんです。

  さ~大変です!
  セットは出来上がっていない上に全体を管理して、リハーサルを進めなくてはいけない
  舞台監督がいません・・・
  かと言って舞台監督抜きでリハーサルをする訳にも行かず、まずは真木さんに
  セッティングの都合でリハーサルが少し遅くなる旨だけを伝え、スタッフが
  舞台監督探しを・・・(苦笑)
  ちなみに、この時には脚本家の先生の事務所が舞台セットや舞台監督も受け持っていて
  何とも気まずい雰囲気に・・・
  そんな中、舞台監督を探しに行っていたスタッフから
  「地下の駐車場にいました~~~」と報告が・・・
  慌てて行ってみると、セットの手直しの為に障子に色を塗っているじゃありませんか!
  も~ひえ~~~って感じですが、さすがにセットも必要ですが、リハーサルも大事。
  そこで、仕方なくリハーサルの順番を入れ替えて舞台監督抜きで、代理監督のもと
  リハーサルを開始。
  結局はギリギリで全て帳尻はあったのですが、ひやひやビクビクのリハーサルでした。
  ただ、本番は芝居の内容も能楽堂の雰囲気にもマッチして印象的な舞台となりました。

  また、別の公演地では音響のトラブルで演じている真木さんのピンマイクが
  使えなくなり会場ではマイクを通した真木さんの声が聞こえなくなってしまいました。
  その時真木さんは慌てる事もなく、地声のまま演じ続けたんです。
  その状況に会場は物音ひとつする事もなく、
  これこそ「水を打ったような静けさか・・・」と思わせる空気感に変り、
  真木さんの演技に引き込まれたんです。
   おそらくこの時真木さんは完全に役に入り切っていたのだろうと思いますが
  これが本当の役者って事なんだろうな~と思わせる出来事でもありました。

  そして、この「能代お菊」が真木さんの代名詞とも言える一人芝居を定着させる
  歩き出しの作品となり、この時に皆さんも良くご存じの三行の添え書き(名刺や
  封筒・ホームページなどでもお馴染み)が、生まれました。

    歌を語り
       人生を演じ
             儚さを舞う

  

                         ♪ かんりにん ♫

  昨日制作こぼれ話を書いたのですが、考えてみたら書き足りない事がありました
  それは劇中にヒラヒラと風に舞って落ちてくる桜の花びらの事です。

  この花びらは「雪かご」と言う竹で作られた専用のかごに小さく切った和紙を
  入れて舞台上のバトンに吊るし、舞台の袖からつなげられた紐を引き
  かごを揺らして使うんです。

  これは、舞台効果として雪が降ってるシーンで使うものなのですが
  文字通り雪ですから中に入れる和紙が白なんです。
  普通ならそれで良いのですが「知覧のホタル」では桜の花びらが
  ユラユラと舞って欲しかったんです。
  ちなみに桜の花びらと言っても、濃いピンクやまるで白に見えるような
  薄い色まで様々なので、照明さんがピンク系の色にしてくれれば
  揺れ落ちる雰囲気がそれらしく見えてくるんです。
   ( お客様も芝居の流れからさすがに雪とは思わないでしょうし
     「あ~桜の花びらが・・・」とか思って見てくれますからね。笑 )

           160127技の伝承雪籠カバー

  ところで、お客様は「あ~桜の花びらが・・・」と喜んで見て下さるんですが、
  ですが・・・なんです。
  この白い和紙の紙が・・・とにかく大変なんです。
  舞台上に舞ったこの和紙を掃除しようと思うと、ほうきで簡単にサッサッてな訳
  には行かず、舞台にしっかりくっついて離れないものや、小さくて軽いので
  あちこちに広がってるんです。
  結局終演後には舞台だけではなく、楽屋通路から客先の前列の方まで必死に雪掃除を
  しなきゃいけませんでした。
  これが案外大変で、ほうきや掃除機、最後は手作業での掃除・・・
  根気のいる作業なんです(笑)

  とここまでは、渋谷の伝承ホールでの事ですが、この「知覧のホタル」と言う芝居は
  地方でも公演していて、その公演先ではなんと雪かごに入れる紙をスタッフがせっせと
  準備したんです。
  普通は雪かごをお願いすると、中の和紙も一緒に持って来てくれるんですが(中の紙は
  一度作ると毎回必死に回収して使い回しが出来るので・・・たまに小さなゴミも一緒に
  入ってますが)、たまたま地方での公演で何とか雪かごは準備出来たのですが
  中の紙がどうも無いかもしれない・・・
  そこで、急遽中に入れる紙を手配しようと思ったら良さそうなものが無い!
    *もともと和紙を使ってるのは、厚手の普通紙では落ちるスピードも速く
     綺麗に揺れてくれないのでユラユラと落ちるには和紙が良いようです。
     ( もともと昔からの舞台演出の伝統手法ですからね )

  仕方なく、和紙をあきらめてダイソーに行ってラッピング用の薄いピンクの紙を購入
  リハーサルを終えて時間の出来たメンバーに集まってもらって必死に紙切りを・・・
  ちなみに、紙を切るといっても大きさや形によって落ちるスピードや落ち方が違うので
  案外その方が雰囲気があったりするので、極端に大きく切らなければ
  少々雑でも何とか・・・(笑)  

  と言う事で、お客様には綺麗な演出でも裏ではこんな作業があったんです。
  でも、これから舞台に降る雪を見て「あ~これは上に雪かごが吊ってあってね~」
  みたいな 興覚めするような会話をしながら芝居を見ないで下さいね(笑)

  あくまでも、こんな裏事情を知ってもその演出に感動出来るかが
  見る人の感性ですからね!
   ・・・それならここまで説明しなきゃよいものを・・・とは思いますが
  
         hotaru 
       このシーンの桜も雪かごの紙と同じものなんです。


                      ♪ かんりにん ♫





     数日前のブログで、話の流れから戦争関連で「知覧のホタル」と言う一人芝居の事を
一瞬だけ出してしまったのですが、せっかくなのでその一人芝居の事でこぼれ話を少し・・・

 実は今計画している「映像鑑賞ライブ」では、真木さんに制作秘話としての裏話を
 聞かせてもらうコーナーもあるんですが、こちらでは制作スタッフ側の制作こぼれ話を
 少ししてみたいと思います。
      03-19


 まず、皆さんは「知覧のホタル」と言う一人芝居作品を渋谷伝承ホールで生で御覧頂けてますか?
 又はその時のDVDをご覧頂けてますでしょうか?

  御覧頂いた方はお分かり頂けると思いますが、ストリーの途中突撃前夜 
  薄暗い裸電球の下、身の回りを世話をしてくれた少女に直立で敬礼をして
  「明日行ってまいります!」と言うシーンで、ステージ奥の壇上に、飛行服を着て
  飛行帽にゴーグル、そして首には絹の白いマフラーを巻き敬礼をする青年兵の姿が
  薄ぼんやり見えたと思います。
   ( DVDでは全体の照明がかなり暗いのでほとんど見えないかもしれませんが)
  その時の青年兵は舞踊団 正藤のメンバーがやってくれたんです。
  そして、その時着ていた飛行服は実は当時の本物の飛行服だったんです。

     *飛行服の内側には検品された昭和十七年と押印されています。
      そして、おそらくサイズが四号だろ思いますので、当時としては
      大きいサイズだったんだと思います。
      
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    *当時としては比較的大きかったからなのか、ほとんど痛みもなく
     未使用に近い状態で入手したものです。
     ちなみに、写真は舞台で使用した本物です。
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     そして、内側は上空の寒さにも耐えられるように内側は全面毛皮でした。
     
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  ちなみに当時の日本軍はウサギの毛皮を使ったいたそうですが高高度になると、
  それでも寒いので諸外国の飛行服を参考にヌートリアの毛皮も使う事があったそうです。
  ただ、戦争も末期になるとヌートリアどころかウサギの毛皮の入手も難しくなり、
  猫の毛皮を使っていたそうです。
  その為、初期の頃のように全面均一な真っ白の毛皮ではなく、パッチワークのように
  なった毛皮だったとも言われています。

  そして、芝居では青年兵が少女に残していった、搭乗員のシンボルのような憧れの
  白いマフラーは、実は古い落下傘の生地(絹)を使う事が多かったそうで、その多くは
  京都の舞鶴で学徒動員された女性たちが作っていたそうです。

  ちなみに、この絹の白いマフラーは単におしゃれや首元の防寒だけではなく
  上空での戦闘では全方向に注意を払うために首の動きをスムーズにする役目もあり
  ました。そしてそれだけではなく、曇った窓を拭く事やケガの止血の為に使う
  目的も兼ねていたそうです。

  ただ、その白いマフラーにはその実用的な意味だけではなく、突撃して死んでゆく
  兵士の白装束の意味があるとも・・・

  そんな深い意味のある白いマフラーには、送り出す親などが当時の五銭や十銭と言う
  お金を縫い付けて送り出した事もあったようです。
  それは四銭(死線)を越えて帰って来てほしいから・・・五銭を   
  そして、九銭(苦戦)を乗り越えて戦いぬいて帰って欲しいと言う切なる願いから
  ・・・十銭を縫い付けて送り出したとか。
  
  真木さんの一人芝居「知覧のホタル」では、芝居用に絹で白いマフラーを作り
  そこに、当時の本物の五銭と十銭縫い付けて使う事にしました。
  そして、もちろん飛行服は当時の本物(ゴーグルと飛行帽はレプリカですが)を
  使い、劇中で真木さんが実際に読んでいた手紙は当時の陸軍で使っていた便箋等に
  真木さん自身が筆書きしたものです。

  一つの芝居・・・でも、その題材を考えた時に 制作スタッフとしても気を使い
  より真剣に取り組む為に小さな一つ一つにもこだわり、そしてその中で真木さんに
  芝居をしてもらおうと・・・
  それが、あの「知覧のホタル」でした。

  あらためてDVDでこの作品を見て頂く時に、白いマフラーの本当の意味なども含め
  知った上で見て頂ければと・・・

           hotaru

  
 <追記>

  芝居冒頭はスクリーンで写真を数点投影していますが、実はあの写真は真木さんの
  仕事関係の方が、ご自宅で遺品整理の時に出て来た大切な実際の写真を使わせて
  頂いているんです。
  そして、その写真と共に流れるナレーションは真木さんが名古屋でお世話になっていた
  東海ラジオの名物パーソナリティー・
松原敬生さんにお願いしたもので、後に名古屋での
  イベントゲストに出演した時には、松原さんが生でナレーションを入れて下さいました。
  (まだまだご一緒させて頂きたかったのですが、残念ながら松原さんは昨年11月に
   お亡くなりになりました。)

  また、芝居途中の劇的なシーンでスクリーンに「明日行ってまいります!」と言う
  筆文字が出ますが、これは富山の北陸柚の会の方に書いて頂いたものでした。
     
  ご縁のある方々にもお力添え頂いて出来た作品として、制作スタッフにとっても
  思い出深い作品でした。

                       ♪ かんりにん ♫
  
  


  昨日のブログに書き込みを頂いたので、そこではこぼれ話として書き込みに
  返信させて頂いていましたが・・・
  真木さんのギターはボディーのサイドとバックが桜の樹を使ってるんです。
  なぜこのギターになったのかと言うと、以前真木さんが弾き語りをする時に
  美空ひばりさんが歌った「さくらの歌」をやる事になったので、あえて桜の樹で
  出来たギターを選んだんです!
  このギターは各所に桜の花びらが描かれているもので、ピックガードも桜の花びらの
  形をしてるんです。
  そして、普通ギターではあまり見ない紫色の材は「パープルハート」と言う木で
  使って行くうちに少しづつ色を変えて行きます。

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    ところで、昨日のブログに書き込みをして下さったMさんはウクレレを
   弾かれるそうなので、桜の樹で出来たウクレレの写真を探してみました(笑)



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   ところで、新曲として発売した「満天の夢」は何となくハワイの浜辺で    
   夜空を見上げてる感じもあるんですが、そこで遠くからウクレレが聞こえて
   きそうです。
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                        ♪ かんりにん ♫ 

    明日 5月29日(土曜日)17:30~17:50

  「KNBミュージックカフェ」

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     電話インタビューでのゲスト出演となります。
     夕食にはちょっと早い時間です・・・
     北日本放送のエリアの皆様は是非お聞き下さいね!


                 ♪ かんりにん ♫

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